写真1●地域ファブリックの概要
写真1●地域ファブリックの概要
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 川口市は、市庁舎をはじめ消防本部や保健センター、学校など、市内22カ所を結ぶ“地域ファブリック”を構築している(写真1)。埼玉県の南端に位置する同市は、約62平方キロメートルの土地に約58万人の住民が暮らす。市内を通る光ファイバーを結んでイーサネット・ファブリックを組み上げ、「川口市全体を一つのネットワークに見えるようして運用効率を高める」(川口市 企画財政部 情報政策課長 大山水帆氏)ことが狙い。ネットワーク仮想化を進め、マイナンバー対応も容易にした。

写真2●Brocade VDX 6740
写真2●Brocade VDX 6740
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 地域ファブリックは、米ブロケード コミュニケーションズ システムズのイーサネット・スイッチ「Brocade VDX 6740」を市内22カ所に設置し構築する(写真2)。既存のネットワーク機器と入れ替える形で導入を進める。2016年1月にテストを行い、2月には今ある機器を撤去。ネットワーク帯域は、7Gビット/秒(1Gビット/秒×7本)から20Gビット/秒(10Gビット/秒×2本)に増やす計画だ。

 同市では、行政事務システムを中心に、大きく三つのセグメントに分けてネットワークを運用している。住民基本台帳や税などに関わる「行政情報系」はクローズドなネットワーク、「地域情報系」や「学校情報系」は市内各所に広がるネットワークである。

 これまで市内22カ所の拠点には、セグメントごとにスイッチを設置。合計で66台(22カ所×3台)のスイッチに対し、それぞれにログインしてメンテナンスする必要があった。ブロケードのファブリックは、全体を1台のスイッチのように管理できる「ロジカル・シャーシ」と呼ぶ機能を備える。これにより「1台のスイッチにログインするだけで全てのスイッチを管理できるようになる」(川口市 企画財政部 情報政策課 情報システム係 主任 初見卓也氏)。

 スイッチが故障した際の対応もシンプルになる。「これまでは機器を交換しコンフィグを設定してテストする必要があったが、ファブリック内で別のスイッチを起動すれば自律的に復旧してくれる」(初見氏)。各拠点では1台のスイッチが3セグメントを管理するように変更。スイッチは2台導入して冗長構成を取り、障害に備える。