金融機関向け大規模システムで実績を挙げてきた富士通、NTTデータ、日本IBMといった大手ITベンダーが、テクノロジー発の新しい金融サービス、FinTechの領域に続々と本格的に参入し始めた。日本でも姿を表し始めたFinTechという新たな市場で主導権を握ろうと各社が先手を争う。

写真●富士通が開催した「Financial Innovation For Japan」の第1回全体会議の様子
写真●富士通が開催した「Financial Innovation For Japan」の第1回全体会議の様子
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 大手のIT各社が狙うのは銀行をはじめとする金融機関と、マネーフォワードやfreeeといったFinTech企業とを結び付ける仲人役だ。富士通は2015年9月3日、金融機関67社とFinTech企業を含むIT企業約49社が参加するコンソーシアム、「Financial Innovation For Japan(FIFJ)」の第1回全体会議を開いた(写真1)。

 NTTデータは金融機関に対してFinTech企業を紹介し、新規ビジネスの創出を支援する新サービス「Digital Corporate Accelerate Program(DCAP)」を提供開始した。子会社のスペイン・エヴェリスが新たに開発したツールを使い、世界中のスタートアップ企業を発掘できるのが特徴だ。日本IBMも金融機関向けに2015年10月1日から、「IBM FinTechプログラム」を始める。グローバルでのナレッジを武器にFinTechサービスの開発支援のほか、国内外のFinTech企業やそのアプリケーションを仲介する。

 大手IT各社は仲人役を果たすことでFinTechを後押ししつつ、新サービスを稼働させるITインフラ需要の取り込みに商機を見出す。欧米だけでなく日本でも、FinTechを引っ張るスタートアップ企業と金融機関が手を組むケースが出てきた(関連記事:銀行も資本提携に乗り出す 到来「FinTech大競争時代」)。ただしサービス協業を深く進める場合、FinTech企業のサービスやアプリケーションと、金融機関の重厚長大な基幹系システムを連携させる必要が生じてくるからだ。