(提供=123RF)
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 「使う分だけ払う」。クラウドサービスで一般的な従量課金の料金体系が、ITベンダーが提供するソフトウエアのライセンスにも採用され始めた。日本IBMと富士通がミドルウエア製品に新たな料金体系を用意。ユーザー企業がオンプレミスで利用するソフトでも、クラウドと同じ従量課金方式で提供する。開発段階やシステム移行期間における試験環境など、一時的にソフトを利用したいユーザーの要望に応え、需要を広げる考え。これまでは「永久ライセンス」を買い取る方式しか選べず、ユーザーはソフトの利用期間に関わらず、ライセンス費用を支払う必要があった。

 日本IBMが2016年8月に、同社が提供するミドルウエア製品の一部に従量課金方式を追加した。対象となるのは、Javaアプリケーションサーバーソフト「WebSphere Application Server」と、データベース管理ソフト「IBM DB2 Direct」である。初期費用は無料で、1カ月単位で課金する。物理的なCPUのコア数や性能とは別に、独自に計算能力を算出した「仮想コア」と呼ばれる使用量に応じて料金を見積もる。料金は、WebSphere Application Serverが1仮想コア・1カ月当たり5368円から。データベース管理ソフトのIBM DB2 Directは2仮想コア・1カ月当たり14700円からとなる。

 どちらのミドルウエア製品もこれまでは永久ライセンス方式で販売していた。同社の試算によると、WebSphere Application Serverの場合で「約4年間継続して使う場合は、永久ライセンスを購入した方がお得。それより短期間なら従量課金の方がコストを削減できる」(日本IBM 執行役員 クラウド事業本部 クラウド・ソフトウェア事業部長 渡辺公成氏)。