米アップルは日本時間2014年9月19日に新型スマートフォン「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」を発売した。iPhoneとしては初めて近距離無線通信の国際標準規格である「NFC」機能が付く。これを活用し、アップルは米国限定で10月から新しい決済サービス「Apple Pay」を始める。
Apple Payの米国外での展開について、アップルからの公式発表はない。現時点では不明な点も多いが、関係者の話を総合すると、環境が整えば2015年以降に日本でも展開される可能性が高い。だが、日本の小売・サービス業における電子マネー決済端末の設置状況を考えると、Apple Payが使える店舗が増えるまでには時間がかかりそうだ。
米国ではマスターカードなどのNFC端末が普及
Apple Payの店舗での利用イメージは、日本の「おサイフケータイ」に近い(写真1)。iPhoneを店舗の端末にかざすと決済できる。まずアップル直営258店舗で利用できるようにし、その後メーシーズやマクドナルドなど有力チェーンを含む22万店以上でも使えるようになる。
米国でApple Payが22万店以上という規模でスタートできるのは、既にNFCに対応した非接触決済端末が行き渡っているからだ。アップルの提携相手である米マスターカード(MasterCard)が提供する非接触決済サービス「PayPass」や、米ビザ(Visa)の「payWave」用の端末をApple Payでも利用できる。
マスターカードはアップルのパートナーとして、Apple Payの根幹となる技術とシステムを提供している。同社ジャパンオフィスの広瀬薫上席副社長は「既存のPayPass決済端末は、一部の古い機種を除けば、そのままApple Payに対応できる」と説明する。