レッドハットが「コンテナ」製品を第二の収益の柱にしようと動き出した。柔軟で俊敏なシステム開発・運用を可能にする基盤ソフトとして注目を集めるコンテナ製品を、一部の先進企業だけでなく幅広く売り込む。この9月に提供を始める同製品「OpenShift」の新版に、導入しやすい料金プランや活用支援サービスを用意した。ビジネス変化に即応するアプリケーションを素早く開発・改変する「DevOps(デブオプス)」の広がりを追い風に拡販する考えだ。

 コンテナはOSの中に仮想的なOSを作る技術。プログラム名やネットワーク名を指定する名前空間、CPU性能やメモリー容量の上限などを、コンテナごとに独立して設定できる。アプリケーションとその実行に必要なミドルウエアを仮想OSと一体化して管理。異なるサーバーやクラウドの間で、アプリケーションを容易に移動したり複製したりできる。開発者と運用担当者が密に連携して、事業の変化に応じたアプリケーションを素早く開発・提供する取り組み「DevOps」を支援する基盤技術だ。

 コンテナ製品であるOpenShiftの販売強化は、レッドハットの新事業戦略に基づいたものだ。企業向けのLinux「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」を主力製品とする同社は2016年4月、RHELに依存しない成長戦略を発表した。現在、売上高の約8割を占めるRHELに替えて、OS以外の製品の売上高を2020年までに50%に成長させることを目指す。OpenShiftはその中核を成す製品だ。

無償版や廉価版で間口広げる

 新版のOpenShiftから、無料モデルや廉価モデルを用意した。無料モデル「OpenShift Container Local」は、開発者がPC上で使うためのもの。商用利用ができず、サポートが受けられないが本番と同じ環境をPC上に構築して開発ができる。廉価モデル「OpenShift Container Lab」はテスト環境を構築するためのもの。サポートが受けられるが商用利用は不可。そのぶん価格を抑える。

 開発・運用ノウハウは、「DevOpsディスカバリーワークショップ」や「DevOpsコンサルティングサービス」を通じて提供する。ワークショップは半日程度で、コンテナに適した開発ができているかを無償で相談できる。具体的な開発方法は、有償のコンサルティングサービスを通じて提供する。レッドハットはコンテナソフトの一種である「Linux Containers」を開発してきた経験があり、開発を通じて蓄積したコンテナ技術やコンテナ活用ノウハウを通じて提供するという。