仮想化・クラウドに関するイベント「VMworld 2016」が2016年8月29日~9月1日(米国時間)、米国ラスベガスで開催された。基調講演で米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)は、マルチクラウド戦略「VMware Cross-Cloud Architecture」を発表。「ヴイエムウェア製品で作ったシステムと、IBMやアマゾン、マイクロソフト、グーグルなどのクラウドをつなぎ、ユーザーニーズに応える」と打ち出した(写真1)。
Cross-Cloud Architectureを支えるのは、「VMware Cloud Foundation」と「VMware Cross-Cloud Services」の二つ。前者はヴイエムウェアが提唱する「ソフトウエア・デファインド・データセンター(SDDC)」に沿ったシステムを作るソウトウエア群。PCサーバーを仮想化してインフラに用いるハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(HCI)の構成要素でもある。
HCIをオンプレミス環境だけでなくIBMなど他のクラウドにも広げる。同時に、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やMicrosoft Azureなど様々なパブリッククラウドを相互運用するサービスも発表。“ヴイエムウェア単一”の殻を破った新たなハイブリッドクラウドに要注目だ。
Cloud FoundationをIBMクラウドに
VMware Cloud Foundationは、サーバー仮想化の「VMware vSphere」、ネットワーク仮想化の「VMware NSX」、ストレージ仮想化の「VMware Virtual SAN」、管理ツール「VMware SDDC Manager」で構成。従来のHCIソフト「VMware EVO SDDC」の後継になる。
サーバーに導入するアプライアンス向けに加え、クラウド向けのライセンスを用意。第一弾として、IBMのクラウド「SoftLayer」上でVMware Cloud Foundationを提供すると発表した。
ヴイエムウェア製品はオンプレミス環境の仮想化で高いシェアを持つ。VMware Cloud Foundationを配したクラウドを増やし、同じソフトウエアスタックを介して相互運用するハイブリッドクラウドを組むのがヴイエムウェアの狙い。IBMのようにVMware Cloud Foundationをかつぐベンダーにとっては、オンプレミスでヴイエムウェア製品を利用するユーザーを自社クラウドに導く武器となる。
AWSやAzure上のアプリに照準
Cross-Cloud Servicesは、オンプレミス環境とクラウド間で、アプリケーションの相互運用を可能にするサービス。AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformを対象に、テクノロジープレビューが公開された(表)。