首相官邸の事件からわずか5カ月足らず――。2015年9月4日、無人飛行機(ドローン)の規制を定めた改正航空法が国会で成立した。9月11日に公布され、3カ月以内に適用される見通しだ。総務省も9月11日、ドローンを使って撮影した映像の取り扱いに関するガイドラインを公表した。2015年4月に首相官邸の屋上でドローンが発見されるなどの事件やトラブルが相次いでいたことから、政府は対策を急いでいた。

 ルール作りが進むことで、産業利用に拍車がかかると予想される。ドローンは災害調査や設備の点検、警備などの用途で実用化の動きが高まっている。大手ドローンメーカーは「規制が整備されることで、産業利用が加速するだろう」と口をそろえる。

マナーや常識の範囲内で

 改正航空法や総務省の発表したガイドラインは、ドローンの飛行方法や撮影した映像の取り扱いのルールを取り決めている。国土交通省航空局によれば「迷惑行為にならないためのマナーや常識的な考え方を、運用方法としてまとめたもの」だという。総務省のガイドラインは、プライバシーの保護や肖像権の侵害などを防ぐ目的で作成された。

図●航空法改正の概要。国土交通省の資料から抜粋
図●航空法改正の概要。国土交通省の資料から抜粋
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 改正航空法と総務省のガイドラインで規制の対象となるのは、複数のプロペラを搭載する機体だけでなく、固定翼で滑空する機体も含まれる。発表資料によれば「構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」となっている。

 改正航空法では、空港周辺や住宅密集地域でドローンを飛行させる場合、国土交通大臣の許可が必要となる()。夜間の飛行も禁止だ。祭礼や展示会といった、大規模なイベントでの飛行も禁止する。爆発物など危険なものは搭載させないことも取り決めた。