いよいよ2015年10月からマイナンバー制度の個人番号を通知する「通知カード」送付が始まる(写真1)。全ての事業者は、アルバイトを含む従業員やその扶養家族、取引先の個人事業主の個人番号(マイナンバー)を収集し、支払い業務に備える必要がある。

写真1●マイナンバー制度の個人番号「通知カード」の見本
写真1●マイナンバー制度の個人番号「通知カード」の見本
(出典:総務省のWebサイト)
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 高度な「安全管理措置」(セキュリティ対策)が求められる個人番号の収集と管理は、特に中小・零細企業にとって大きな負担になる。これを支援するためのマイナンバー管理クラウドサービスに参入するベンダーが相次いでいる。

クラウド専業会計ベンダーにとって商機

 特にクラウド専業で会計・給与計算ソフトを提供する企業はこれを絶好の商機と見て、マイナンバー関連サービスを相次いで投入している。

 freee(フリー、東京・品川)は「マイナンバー管理freee」の事前登録を受け付けている。単体でも利用でき、その場合の料金は人数無制限で月額980円(税込み)。ただし、「クラウド給与計算ソフトfreee」を利用していればマイナンバー管理機能は無料となる。

 freeeでマーケティングを担当する岡田悠氏は「マイナンバー制度の施行は、中小企業にクラウド型会計ソフトに目を向けてもらう大きなきっかけになる」と話す。

 中小企業がクラウド以外の手段でマイナンバーを収集・管理するのは困難だというのがfreeeの考えだ。Excel形式などでPCに保管すればウイルス感染による情報流出や、内部関係者がのぞき見るリスクにさらされる。紙の帳簿を金庫などに保管することも可能だが、数十人以上の従業員を抱えたり、従業員の入社や退社による入れ替わりが激しかったりする場合は、紙による管理は現実的ではない。