日本航空(JAL)は2017年8月3日、海外出張費を精算するクラウドサービスを手がける独エアプラスと提携した。同社は欧米を中心に60カ国に進出して取扱高1兆8000億円を誇る大手。今回、JALが総販売代理店となり日本市場に初参入する。

海外出張精算におけるお金の流れとJALの狙い
海外出張精算におけるお金の流れとJALの狙い
利用企業に精算経路変更を促し、決済手数料の負担を減らす
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 JALの狙いは5000億円弱といわれる日本の海外出張精算市場でシェアを拡大し、同市場の大半を握るクレジットカード会社に支払う決済手数料を「年間数億円規模で削減」(JAL)することだ。JALは2010年の経営破綻以降、徹底したコスト削減を続けており、年数億円の削減効果は大きいといえる。

 JALは法人向けの海外出張精算サービス「PassAge」を提供してきた。取扱高は非開示だが500億~1000億円程度とみられ、カード会社が提供するコーポレートカードを使った出張精算サービスとシェアを争っている。

 PassAgeはカード会社のサービスに比べて優位な点がある。UATP(ユニバーサル・エアー・トラベル・プラン)と呼ばれる航空・旅行業界共通の代金決済ネットワークに接続していることだ。航空会社260社の利用料金を利用企業ごとに月単位でまとめて精算し、欧州SAPや米オラクルなどの会計システムや、SAP傘下の米コンカーの経費精算クラウドサービス「Concur」とデータ連携する。

 ただ、PassAgeは国内企業向けのため多国語・多通貨決済対応などが弱く、カード会社のサービスに押され気味だった。企業がJALの航空券をカード会社のサービス経由で購入すると、JALはカード会社に決済手数料を支払う。手数料率は1%台とみられるが、取引額が大きいため「年数十億円規模」(JAL)の負担を余儀なくされている。