「5年前、Bitcoin(ビットコイン)と現金を交換する新興の取引所は毎月のようにハッキングを受け、数億ドルを失う例もあった。ICOも非常に新しい分野で、成熟するまでに数年を要するだろう」。
ロシア出身の技術者で、Bitcoinに次ぐ時価総額の仮想通貨を管理するブロックチェーン「Ethereum(イーサリアム)」を提唱したヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は2017年8月中旬に来日した際、インタビューでこのように語った。
Ethereumは、個人や企業が独自のデジタルトークンを発行し、資金を調達する「ICO(Initial Coin Offering)」の基盤技術としても注目を集めている。ブテリン氏自身、分散型の仮想通貨交換サービス「OmiseGo」の開発資金を調達するICOや、エストニア政府によるICOの計画をサポートしている。
ブテリン氏が主張する通り、ICOには技術面、制度面で未成熟な点が多い。それらを放置したままICOブームが過熱すれば、ブームに便乗した詐欺が頻発し、ICOそのものが社内の信頼を失うことになるだろう。
資金調達のイノベーションとされるICOが抱える問題点と、課題を克服する道筋について考えてみたい。