写真1●ドコモgaccoの伊能美和子代表取締役社長
写真1●ドコモgaccoの伊能美和子代表取締役社長
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 「NTTドコモにはできないことをやる。そのために、新会社を設立した」。そう話すのは、NTTドコモが2015年8月に設立した新会社、ドコモgaccoの伊能美和子代表取締役社長(写真1)。MOOC(大規模公開オンライン講座)を核にした教育事業の拡大が同社の使命だ(関連記事:NTTドコモが教育系新会社「ドコモgacco」、NTTナレッジ・スクウェアを子会社化)。

 NTTドコモは2014年2月から、NTTナレッジ・スクウェアと共同でMOOCの配信サービス「gacco」を運営してきた。大学などが提供する講義映像のほか、課題や試験問題も無料で提供。これまでに、慶應義塾大学の村井純教授、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長など第一線の教授陣が講義/監修する講座を44種類配信してきた。

 ただ「これまでの期間は、ドコモにとっては実験的な意味合いもあった」(伊能氏)。gaccoは、MOOCの配信サイトとしては国内初のサービスだ。MOOCは欧米では急成長を遂げたが、国内での市場性は当初未知数だった。

図●ドコモgaccoのロゴ
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 だがふたを開けてみれば、登録会員数は2015年8月時点で約14万人。延べ約39万人が講座を実際に受講した。「日本にはMOOCの市場があると実感した」(伊能氏)ことから、本格的なビジネス強化のためにNTTナレッジ・スクウェアを子会社化して社名を「ドコモgacco」に変更()。NTTドコモでgaccoの立ち上げを主導した伊能氏が社長に就いた。

 「ドコモの子会社とはいえ、気持ちは完全にベンチャー」と話す伊能氏。小規模な企業ならではの身軽さを生かし、迅速に意思決定して新施策を打ち出す。まずは、有償サービスを充実させるなど収益化を進める予定だ。その先には、gaccoを媒介とした新ビジネスの創出を見据える。

法人ユーザーを開拓し収益化を図る

 ドコモgaccoが最初のテーマとするのは、法人ユーザーの開拓である。これまでのgaccoの主要ユーザーは無料で学ぶ個人の学習者だったが、今後は法人向けの有償サービスを充実させて、収益の柱に育てる。