インターネット上に自社専用のディスクスペースを持つことができ、PCやスマートデバイスなど様々な端末から読み書きできる。企業ユースに必要となる管理機能や、アクセス制御などのセキュリティ機能も豊富に備える---。そんなサービスが企業向けクラウドストレージ(オンラインストレージ)サービスである。

 この企業向けクラウドストレージ分野で最近、新たなトレンドとして浮上してきたのが「容量無制限化」だ。毎月一定額の料金を支払えば、ストレージ容量を必要な分だけいくらでも増やして利用できるというもの。容量無制限クラウドストレージの登場によって今後、企業におけるファイル管理の概念や方法論が根本から変わる可能性がある。

 容量無制限をうたうクラウドストレージサービスは、個人向けを含め数年前からいくつか存在していた。しかし、それらのほとんどは「追加の料金を支払えば、それに応じて容量をいくらでも増やせる」という意味である。比較的低価格の固定料金で容量無制限化を実現した、本当の意味での容量無制限クラウドストレージが国内向けに提供され始めたのはつい最近のことだ。

写真1●米ボックスの企業向けクラウドストレージサービス「Box」
写真1●米ボックスの企業向けクラウドストレージサービス「Box」

 具体的に国内では最近、この分野で大きな動きが二つあった。一つは5月下旬、米ボックスの企業向けクラウドストレージサービス「Box」(写真1)が、国内での事業展開を本格的にスタートさせたことだ(関連記事:企業向けストレージサービス「Box」の日本語版が開始、三菱地所などが導入)。ワールドワイドで20万社以上、2500万人超のユーザーを抱える“黒船”の本格上陸ということで話題となった。さらに同社は7月、それまで最上位プランでのみ実施していた容量無制限化を中位プランにも適用すると発表し、注目を集めた(関連記事:クラウドストレージ「Box」がOffice 365と統合可能に、共有文書を直接編集)。

 もう一つの動きは6月下旬、米グーグルが容量無制限のストレージ機能を備えた企業向けクラウドサービス「Google Drive for Work」の提供を開始したことだ。あのグーグルが初めて容量無制限型のクラウドストレージサービスを提供するということで、こちらも話題を呼んだ(関連記事:グーグルがTVや自動車向けAndroidを発表、企業版Googleドライブも)。

 Google Drive for Workは、同社の企業向けクラウドサービス「Google Apps」の各種サービスで、ストレージ容量(標準では30Gバイト)を制限なしで利用できるようにしたサービスである。少々ややこしいが、Google Drive for Workの中の一機能として、容量無制限のクラウドストレージ機能である「Googleドライブ」が提供される形となる。