ブロックチェーン上で仮想的なコイン(トークン)を発行し、販売することで資金を調達するICO(Initial Coin Offering)が過熱している。ブロックチェーン関連プロジェクトを中心に、数十億~数百億円を調達する例が相次いでいる。

 個人や企業のみならず、ついに国家までもICOの実施計画を明らかにした。エストニアがそうだ(エストニア政府のサイト)。相次ぎ独自トークンが発行される様は、諸侯が利益目当てに競って独自貨幣を発行した中世ヨーロッパをほうふつとさせる。

 個人がトークンを発行する「VALU」の法的な位置づけについて、活発に議論されているが、ここではICO一般について考えてみたい。

トークンに付与される権利次第で位置づけも変わる

 「デジタルトークンの法的位置づけは、ブロックチェーン上で生成した否かは関係なく、トークンの性質によって異なる」。森・濱田松本法律事務所の増島雅和弁護士のVALUについてのコメントは、ICO一般に当てはまる。

 投資した事業の利益を分配する権利がトークンに付与されている場合、トークンは有価証券としての性質を帯びる。

 例えば米証券取引委員会(SEC)が2017年7月25日に公開したレポートは、ICOの一例である「The DAO」のトークンを「Security(有価証券)」とみなし、証券規制法の規制対象になり得ると判断している。The DAOトークンには投資の収益を分配する機能が付与されていたためだ。

 日本の規制法である金融商品取引法(金商法)でも、有価証券とみなす基準は米国とほぼ同じだ。事業の利益を分配する仕組みがあれば、いわゆるファンド規制の対象となる可能性がある。