写真1●米Netflix(ネットフリックス)との提携を発表するソフトバンクの宮内謙社長
写真1●米Netflix(ネットフリックス)との提携を発表するソフトバンクの宮内謙社長
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写真2●提携会見で握手を交わす、ソフトバンクの宮内謙社長(左)とネットフリックス日本法人のグレッグ・ピーターズ社長(右)
写真2●提携会見で握手を交わす、ソフトバンクの宮内謙社長(左)とネットフリックス日本法人のグレッグ・ピーターズ社長(右)
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 ソフトバンクは2015年8月24日、9月2日に日本でサービス開始予定の動画配信サービス世界最大手、米Netflix(ネットフリックス)と業務提携した。動画配信を扱う他の通信各社が相次ぎテコ入れ策を打ち出すなか、「黒船」と組むことでパケット料の増収につなげ、起死回生を目指す。

 携帯端末市場は伸び悩みを見せている。MM総研の調査では、2014年度の携帯電話端末の国内出荷台数は前年比3.9%減の3788万台となり、3年連続で減少している。この状況に対し通信事業者各社は、動画や音楽などコンテンツ配信サービスを次の収益の柱にすべく注力している。動画配信ではNTTドコモは2011年11月に「dビデオ」(現dTV)を開始し、通信3社で最大となる453万件の会員を獲得。KDDI(au)は2012年5月に「ビデオパス」、ソフトバンクはエイベックス・グループと共同で2013年2月に「UULA」のサービスを開始。それぞれ100万件超の会員を抱える。

 2013年は3社のサービスが出そろい「モバイル動画配信元年」となったが、翌2014年に早くも伸び悩む。日本映像ソフト協会の調査では、2013年の有料動画配信市場は597億円に上り、映像ソフト市場全体の1割を超えるまでになった。しかし翌2014年の市場規模は614億円で、成長率は2.5%にとどまった。dビデオも開始から1年4カ月となる2013年3月に400万契約を突破したが、その後は2年半で50万件増と会員数の伸びが急激に鈍化している。

 テコ入れが急務な状況となるなか、ドコモは2015年4月に「dビデオ」をdTVに改称し大量のCM投入などの販促策を開始。auは8月にテレビ朝日と提携し、ユーザーの視聴動向を分析し番組制作に生かすなどの取り組みを始める。auと同じくドコモに大きく水をあけられていたソフトバンクにとって、ネットフリックスの参入はまたとない挽回のチャンスである。