通信大手3社の2017年4~6月期連結決算はそろって増収増益だった。ただ、主力の携帯電話事業は格安スマホの攻勢を受け、楽観できない状況が続く。各社とも顧客の囲い込みに躍起となっており、流出防止策の強化による利益のマイナス影響が目立ってきた。こうした成果が出始めているのか、格安スマホの勢いに鈍化の兆しも見られる。

ソフトバンクの国内通信事業は減益

 NTTの営業利益は前年同期比0.9%増の4916億円。NTTドコモ(同7.0%減)やNTT東日本(同17.9%増)、NTT西日本(同27.9%増)は減価償却方法を定率法から定額法に変えた影響などが大きく、いずれも想定通りで順調という。NTTデータ(同27.6%増)も米デルのITサービス部門を買収した効果が大きい。NTTコミュニケーションズ(同21.7%増)はシステムインテグレーション(SI)とネットワークサービスの両方が好調だった。

通信大手3社の2017年4~6月期連結決算
通信大手3社の2017年4~6月期連結決算
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 KDDIの営業利益は同2.3%増の2814億円。au契約者数は格安スマホへの流出で目減りが続くが、au通信ARPA(アカウント当たり月間平均収入)が順調に伸び、2017年4~6月期は同160円増の5970円(パーソナルセグメント)だった。コンテンツ系サービスなどで構成する付加価値ARPAも同90円増の560円と好調に推移している。

 ソフトバンクグループの営業利益は同50.1%増の4793億円だった。国内通信事業は顧客基盤の拡大に向けた先行投資で減益となったが、米スプリントの業績回復や投資ファンド(SVF:SoftBank Vision Fund)による評価益が営業利益の拡大に大きく貢献した。同社は様々な投資先との同志的結合によるシナジー(相乗効果)の最大化で成長を図る方針を打ち出しており、通信事業者としての業績の比較はもはや意味がなくなっている。

ソフトバンクグループは米スプリントの業績回復や投資ファンド(SVF:SoftBank Vision Fund)による評価益が営業利益の拡大に大きく貢献
ソフトバンクグループは米スプリントの業績回復や投資ファンド(SVF:SoftBank Vision Fund)による評価益が営業利益の拡大に大きく貢献
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