写真1●「スマートメンテナンス」機能搭載を予定しているJR山手線の新型車両「E235系」
写真1●「スマートメンテナンス」機能搭載を予定しているJR山手線の新型車両「E235系」
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 東日本旅客鉄道(JR東日本)が、列車の「IT化」を進めている。旅客向けには、2014年3月から東京都内のJR山手線で「山手線トレインネット」のサービスを開始した(関連記事)。

 これに加えて、列車に搭載したセンサーから“ビッグデータ”を収集。走行中に取得する線路や架線の状態に関するデータを分析し、保守作業に活用する計画を進めている。JR東日本はこれを「スマートメンテナンス」と呼ぶ。

 2013年から東京都や埼玉県内の一部路線で実証実験を実施。2015年秋から山手線で運転開始を予定している新型車両「E235系」(写真1関連記事)で本番運用を始める予定だ。

劣化や摩耗を早期に検知

 JR東日本は、スマートメンテナンス推進によって運行の安全性を高めるとともに、保守業務の効率化によるコスト削減につなげる。この分野は世界の鉄道事業者や車両メーカーにとっても未開の領域で、JR東日本研究開発センターが主導して開発を進めているという。

 線路や架線は経年劣化したり、列車の走行によって摩耗や歪みが生じたりする。安全運行のためには、点検と補修を継続的に実施する必要がある。2013年夏から相次いだ北海道旅客鉄道(JR北海道)の運行トラブルでは、レールの歪みを長期間放置していたことなどが問題になった。

 JR東日本が運営する首都圏の路線は列車運行頻度が高く、設備の損耗が激しい。深夜に技術者を集中的に投入するなどして点検しているが、路線は長大で、詳細な点検を実施できるのは1カ所当たり年に4回だ。