国内IT大手4社の2016年4~9月期の連結決算が出そろった。日立製作所、富士通、NECは全て減収となった。富士通とNECは営業利益で赤字を出すなど、各社の業績は厳しい()。

表●大手ベンダーの2016年4~6月期の連結決算
表●大手ベンダーの2016年4~6月期の連結決算
水色はITサービス関連セグメントで、全社調整額を除いた数字。全て内部売上高を含む。*1営業利益は同社の説明資料中にある「調整後営業利益」を参照した *2「パブリック」「エンタープライズ」「テレコムキャリア」「システムプラットフォーム」部門の合計値
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 国内のIT投資は堅調に推移しているが、金融や公共分野などの大型案件が2016年3月期にピークを迎え、その反動減が響いた。

 唯一増収増益を果たしたのはNTTデータだ。前年同期の反動減が影響して受注高が前年同期比4.0%減ったものの、官公庁や銀行、保険業界向けSI案件などが伸長して補った。

 日立の売上高は、前年同期比7.9%減の2兆1304億円、営業利益は同20.7%減の914億円で減収減益となった。減収要因として特に大きいのは、日立物流と空調事業の再編費用の合計1350億円、円高の1200億円だ。

写真1●決算発表の会見に臨む日立製作所 執行役専務 CFO(最高財務責任者)の西山光秋氏
写真1●決算発表の会見に臨む日立製作所 執行役専務 CFO(最高財務責任者)の西山光秋氏
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 「情報・通信システム」部門を見ると、減収増益だ。売上高は前年同期比3.7%減の4350億円、営業利益は同36.9%増の122億円となった。公共分野の大型案件や、海外向けATM(現金自動預け払い機)などが減少した。

 同社 執行役専務 CFO(最高財務責任者)の西山光秋氏は「前年度は金融や公共分野での大型案件の特需がピークを迎えた。反動で売り上げ規模が縮小したものの、国内のIT投資は堅調に推移している」と話す(写真1)。