米アマゾン・ドット・コムが2014年7月に発表した2014年4~6月期決算が注目を浴びている。クラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」が大半を占める「北米/その他」の売上高が14年1~3月期に比べて減少したからだ。アマゾンは14年4月、米グーグルなどに対抗してAWSの大幅値下げを実施しており、その影響が出た格好だ。

 アマゾンはAWSの売上高を公表していない。ただしアマゾンのトム・スクータックCFO(最高財務責任者)は14年7月25日に行った決算説明のカンファレンスコール(電話会議)で、同社の「北米売上高」の中の「その他売上高」の大半が、AWSであることを認めている。該当する「北米/その他」の2014年4~6月期における売上高は11億6800万ドル。前年同期比では38%増加したのだが、14年1~3月期に比べると3%減少した。

 「北米/その他」の売上高が前期を下回るのは異例のことだ。年末商戦がある10~12月期は売上高が極端に大きくなるため、1~3月期の売上高が前年の10~12月期を下回るということはこれまでもあった。しかしそれ以外の四半期では、「北米/その他」の売上高は常に前期を上回っていた。アマゾンは14年4月、米グーグルが14年3月にクラウドサービスの料金を大幅に引き下げたことに対抗して、「Amazon EC2」などの料金を28%~51%の範囲で引き下げている。この大幅値下げでAWSの売上高が伸び悩んだ。

数量ベースでは前年同期比90%成長

 しかし売上高だけを見て、AWSの成長が鈍化したと考えるのは早計だ。スクータックCFOはカンファレンスコールで、AWSの使用量(ユーセージ)が14年4~6月期は前年同期比90%も増加していることを明らかにしている。つまり数量ベースでは前年同期比90%の急成長を遂げたが、価格を1年で30%引き下げているので、売上高ベースでは同38%の成長にとどまったということになる。