IT大手4社の2014年4~6月期連結決算が出そろった。日立製作所と富士通、NTTデータの3社が前年同期比で増収増益を達成し、NECも営業赤字を減らした()。国内景気回復を受けたIT投資の増加や、Windows XPのサポート終了に伴うPC更新需要を取り込み、業績回復傾向が鮮明になってきた。

表●IT大手4社の2014年4~6月期連結決算
表●IT大手4社の2014年4~6月期連結決算
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 その象徴が富士通だ。同社の売上高は前年同期比6.9%増の1兆686億円で、営業損益は72億円の黒字に転換した。4~6月期としては4期ぶりに黒字を計上し、売上高も1兆円の大台に乗せた。

 PCや携帯電話などの「ユビキタスソリューション」部門が、回復を牽引した。国内外のPC更新需要が好調で、同部門の営業損益は前年同期の170億円の赤字から87億円の黒字へと改善した。

 主力の「テクノロジーソリューション」部門も堅調。欧州子会社の退職給付制度の関係で減益となったが、国内の金融や公共向けのSI事業が伸び、4.5%の増収となった。

 富士通は7月31日、半導体事業の再編についても発表。三重工場と会津若松工場を、それぞれファウンドリー新会社として2014年中に分社するとした。塚野英博CFO(最高財務責任者)は「再編は8合目、9合目まできた」と会見で述べた。

 NECの売上高は、子会社売却などが響き6.5%減の5987億円となった。一方で、スマートフォン事業からの撤退が寄与して携帯電話端末の損益が改善。営業赤字を70億円(前年同期は218億円の赤字)に減らした。

 2015年3月期通期の営業利益予想は、1200億円の黒字で据え置いた。官公庁や公共向けの「パブリック」部門では「1Qの受注が前年と比べて10%程度伸びた」と川島勇CFOは説明。マイナンバー関連の投資などを取り込み、利益計画の確実な達成を目指す。