政府はマイナンバー制度を活用して、行政手続きの電子化を加速する。2017年から利用できる「マイナポータル」を通じて税や年金の行政手続きを容易にするほか、若年層を対象にスマートフォンで年金の受け取り見込み額の確認や手続きができる「年金アプリ」を開発する。

 内閣官房は2015年7月に関係省庁に対し、ITベンダーに開発の見積もりを依頼して2016年度予算の概算要求に盛り込むことや、具体的なスケジュールの作成を求めた。

 マイナポータルでは、マイナンバー(個人番号)の付いた自分の情報がどう利用されたかを確認できる。政府は6月に、内閣官房副長官や内閣府、財務、総務、厚生労働各省の政務官で構成する検討チームで、行政手続きの電子化に関するアクションプログラムをまとめた()。「役人だけで議論しても決めるのが難しい項目を盛り込んだ」(内閣官房)という。

「マイナポータル」で一括処理を可能に
「マイナポータル」で一括処理を可能に
図 行政手続き電子化のスケジュール
[画像のクリックで拡大表示]

 アクションプログラムによると、マイナポータルを活用して税や年金などの行政手続きを一括処理できる「ワンストップ型サービス」を導入するほか、マイナポータルの通知機能を使って国民年金保険料の免除申請ができる「ワンクリック免除申請」を可能にする。

 例えば、学生は国民年金保険料の納付が猶予されるものの、現在は市役所などに出向いて手続きをする必要があり、未納の状態になっていることに気付かないケースもある。マイナポータルで通知を受けたら免除手続きができるよう検討するという。