東芝ソリューションとアクセンチュアが、2012年に開発を中止した特許庁システムの開発費に利子を加えた約56億円を、同庁に返納していたことが分かった。特許庁によれば、2013年8月に合意が成立、同年9月に返納金として両社から約56億円が支払われたという。

 同システムの開発では、特許庁は東芝ソリューションに対し、2009年度までの4年間で約24億8700万円を、アクセンチュアには2011年度までに約29億6400万円、計54億5100万円を支払っている。つまり、両社は受け取った開発費全額を、利子付きで特許庁に返納したことになる。

 東芝ソリューションは特許庁への支払いの事実を認め、2013年度会計で処理したとしている。ただし、2社の負担割合については「守秘義務があり、答えられない」(東芝ソリューション広報)とする。アクセンチュアに特許庁への支払いについて問い合わせたところ、「守秘義務のため、回答を差し控える」(同社広報)と答えた。

 特許庁は2006年、基幹系システムの全面刷新に向けて入札を実施。システムの設計・開発業務を東芝ソリューションが、管理支援業務をアクセンチュアがそれぞれ落札した。だが開発は難航し、5年後の2012年1月に開発中止になった(関連記事:55億円無駄に、特許庁の失敗)。

 会計検査院は2011年度決算検査報告で、特許庁の支出である約54億5100万円を、無駄な支出である「不当事項」と認定。開発が失敗した原因として、特許庁が「発注者として必要なプロジェクトの管理を十分に行っていなかったこと」などを挙げている。その後、特許庁と両社は契約解除をめぐる交渉を始めたが、開発中止に伴う違約金の扱いなどをめぐり、交渉に時間がかかっていた(関連記事:特許庁、開発ベンダーと契約解除に至らず)。