日本マイクロソフト(MS)が、法人用統合オフィスソフト「JUST Office」を提供するジャストシステムに対し、Microsoft Officeのリボンインタフェース(コマンドを一連のタブに整理して表示するユーザーインタフェース)に類似した同ソフトのUI(ユーザーインタフェース)がマイクロソフトの権利を侵害しているとして、一部ソフトの販売差し止めを求める通知書を2014年7月上旬に送付していたことが分かった。

 日本MSは約1年前の2013年6月19日に、リボンインタフェース類似のUIを採用するジャストシステムの製品について、不正競争防止法に抵触する可能性を問う質問書を送付。そして今回、日本MSは2014年7月11日に、代理人の弁護士を通じ、類似UIを採用する製品の販売差し止めを求める通知書を内容証明郵便で送付した。通知書で日本MSは、リボンインタフェースへの対応をうたうジャストシステムの製品とその販売行為について、UIデザインに関する著作権侵害および不正競争防止法違反にあたる可能性を主張している。

 JUST Officeは、表計算ソフト「JUST Calc」、文書作成ソフト、「JUST Note」、プレゼン作成ソフト「JUST Slide」などからなる法人向け統合オフィスソフト。Microsoft Officeのファイルを読み書きできる互換機能を持ち、それぞれExcel、Word、PowerPoint形式のファイルに対応する。

 ジャストシステムは1回目の質問書に対しては「不正競争防止法に抵触していないと考えている」と回答。2回目の通知書には後日正式に回答するとしている。

 ジャストシステムは本件に関する日経コンピュータの問い合わせに「弊社は、他社(日本マイクロソフト社様を含む)の知的財産権を侵害しないよう、また、不正競争防止法が定める不正競争に該当しないよう、十分な調査および検討を重ねた上で弊社製品を開発しております」と回答した。

 ソフトウエア業界では、UIはたびたび紛争の対象になっている。

 古くは1989年、米ゼロックスは米アップルに対し、アップルの製品がゼロックスのワークステーションに関するUIの著作権を侵害しているとして、ライセンス料を要求。最近では、その米アップルが2010年以降、AndroidがiPhoneのUIを模倣としているとして、台湾HTCや韓国サムスン電子といったAndroid陣営に訴訟を仕掛けた。

 日本では、松下電器産業(現パナソニック)がジャストシステムに対し、ジャストシステムの文書作成ソフト「一太郎」などが松下のアイコン関連特許を侵害しているとして提訴したが、2005年にジャストシステムの勝訴が確定した。