中古車売買のガリバーインターナショナルは、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を使った、中古車査定システムの基盤刷新を進めている。

 従来は主に仮想サーバーの「Amazon EC2」で実現していた機能をPaaSに置き換え、「運用コストを半分近く下げられる見通し」(ガリバーインターナショナル ITチームの月島学氏、写真)。現在、試験中で、2015年9月の本格稼働を目指す。

写真●ガリバーインターナショナル ITチームの月島学氏
写真●ガリバーインターナショナル ITチームの月島学氏
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 ガリバーが新基盤に導入する予定の主なPaaSとしては、イベント駆動プログラム実行の「AWS Lambda」、ユーザー認証の「Amazon Cognito」、NoSQLデータベースの「Amazon DynamoDB」、プッシュ通知の「Amazon SNS」がある。

 このうちLambdaは2015年6月末から東京にあるAWSのデータセンターでも使用可能になった新サービス。データが登録されたといったイベントを即時検知し、JavaScriptなどのプログラムを実行するものだ。

 これらのPaaSを使った処理の大まかな流れは次の通り()。まず店舗の査定担当者が、独自のiPad用査定アプリでCognitoからユーザー認証を受け、車両の画像、傷の位置や大きさなどの査定用データをDynamoDBに入力する。

図●AWSのPaaSを使った、ガリバーインター ナショナルの中古車査定の仕組み(試験段階の構成概要)
図●AWSのPaaSを使った、ガリバーインター ナショナルの中古車査定の仕組み(試験段階の構成概要)
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 査定用データが入力されたことをLambdaが即時検知し、ひも付けられたJavaScriptプログラムを実行。査定用データが、EC2で稼働する本部の査定支援システムに送信される。

 本部担当者が査定支援システムを使って査定額を算出し、査定額データをDynamoDBに送ると、Lambdaはこれを即時検知して、別のJavaScriptプログラムを実行。Amazon SNSを経由して、iPadの査定用アプリに査定額データを送信する。