米Amazon.comの「Amazon Echo」をはじめ、米Googleの「Google Home」や米Microsoftの「Invoke」、米Appleの「HomePod」などでにわかに注目が高まってきたAI(人工知能)スピーカー。国内ではLINEが2017年7月14日に「WAVE」(先行体験版)の販売を始めた。音声エージェント「しゃべってコンシェル」を手掛けるNTTドコモの動向が注目されていたが、AIスピーカーの提供予定はないという。

 その代わりというわけではないが、同社が2017年6月に打ち出したのは「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」。AIエージェントを実現するためのAPIを提供し、様々なサービスやデバイスに組み込んでもらう「プラットフォーマー」の役割に注力する方針を示した。同プラットフォームで「iモードの再現」をもくろむが、本格展開は2018年度早々とだいぶ先。事業拡大に向けた課題も少なくなさそうだ。

NTTドコモが2017年6月23日に開催した説明会の様子。インテルや高島屋、カカクコムの幹部も登壇した。
NTTドコモが2017年6月23日に開催した説明会の様子。インテルや高島屋、カカクコムの幹部も登壇した。
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iモードの「勝手サイト」をイメージ

 NTTドコモは今回、「AIエージェントAPI」として「先読みエンジン」「多目的対話エンジン」「IoTアクセス制御エンジン」の3つを提供する。

 1つ目の先読みエンジンとは、自動車向けの「AIインフォテイメントサービス」で活用してきた行動分析技術のこと。ユーザーのスケジュールや行動パターン、対話に基づき、最適な情報を適切なタイミングで提供する。

NTTドコモが提供する「先読みエンジン」の概要。
NTTドコモが提供する「先読みエンジン」の概要。
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 2つ目の多目的対話エンジンとは、4300万人に17億回以上の利用実績を誇る「しゃべってコンシェル」などで培った自然言語処理技術のこと。以前は単発のやり取りで“検索”のような用途に限られていたが、最近では多往復の自然な対話も実現できるようになってきた。

NTTドコモが提供する「多目的対話エンジン」の概要。
NTTドコモが提供する「多目的対話エンジン」の概要。
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 3つ目のIoTアクセス制御エンジンとは、通信規格の異なるIoT機器を制御する仕組みのことである。通信会社や機器メーカーなどで構成する「OMA」(Open Mobile Alliance)が策定した「GotAPI」(Generic Open Terminal API)に基づき、NTTドコモが「デバイスWebAPI」を開発。120社以上が参加する「デバイスWebAPIコンソーシアム」で普及活動を進める。

NTTドコモが提供する「IoTアクセス制御エンジン」の概要。
NTTドコモが提供する「IoTアクセス制御エンジン」の概要。
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 これらのエンジンを活用すれば、対話に基づいて行動を提案したり、家電を操作したりするサービスを容易に開発できるという。