米マイクロソフト(MS)の最高経営責任者(CEO)に就任して以来、矢継ぎ早に新施策を発表してきたサティア・ナデラ氏。パートナー向けのカンファレンス「Microsoft Worldwide Partner Conference 2014」(WPC 2014)では、組織の変革に取り組む姿勢を強く打ち出した。

ナデラ氏の講演翌日にリストラ発表

 WPC 2014の3日目に当たる2014年7月16日、ナデラ氏がCEOに就任してから初めてのWPCの基調講演に立った(写真1)。ナデラ氏がこの場でどのようなメッセージを発信するかについては、社内外から高い関心を集めていた。

写真1●大リストラ策で変革への本気度を示すマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏
写真1●大リストラ策で変革への本気度を示すマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏
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 しかしその内容は、以前から提唱していた「クラウドファースト」「モバイルファースト」を前提とした戦略や方針に終始。目を引くような演出や大々的な発表はなく、マイクロソフトの現地社員からでさえ「期待外れだった」との声が漏れたほどだった。

 講演の最後にナデラ氏は、哲学者ニーチェの「現実と直面する勇気を持て(Courage in the face of reality)」という言葉を引用。さらに「現実(reality)」を「機会(opportunity)」に置き換え、パートナー企業にこう訴えていた。「より重要なのは機会と直面する勇気を持つことだ。新たなビジネスチャンスの障壁となる古い文化を大胆に変革してほしい」──。

 その言葉の意味は翌7月17日に明らかになる。2015年6月30日までに、全従業員の14%に当たる1万8000人を削減する大規模なリストラ策を公表したのだ。同社として過去最大規模のリストラとなる。ナデラ氏がパートナーに前述のメッセージを送った翌日に、過去最大規模のリストラ策を発表したことは、自ら率先して組織や文化を変革していくという強い覚悟を持ったメッセージと受け取れる。