人手不足が切迫感を増している。日本商工会議所は2017年7月3日、全国の中小企業を対象にした「人手不足等への対応に関する調査」の集計結果を公表した。この調査によると「不足している」との回答は6割を超えた。情報通信・情報サービス業では62.3%が人手不足と回答しており、全産業平均を上回る。

 人手不足の企業が求める人材は「即戦力となる中堅層、専門家」(62.0%)に次いで、「一定の経験を有した若手社員(第二新卒等)」(60.3%)。社会人経験3年未満で転職する「第二新卒」への注目が高まっている。新卒採用は大卒、高卒ともに4割ほど。中小企業では、第二新卒採用への期待感が新卒採用よりも高いという状態だ。

人手不足の中小企業が求める人材
人手不足の中小企業が求める人材
(出所:日本商工会議所)
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大手IT企業も第二新卒に食指

 第二新卒に期待するのは中小企業だけではない。第二新卒の転職支援を手掛けるUZUZの川畑翔太郎専務取締役は「IT企業から第二新卒の人材紹介の依頼を受けることが増えている」と話す。

 依頼が特に多いのが、ネットワークやインフラ構築を手掛けるシステムインテグレーターだ。「企業として成長しているにもかかわらず、学生への知名度の低さ、仕事のイメージしにくさにより新卒採用で苦戦している。それを第二新卒で補おうとしている」(UZUZの川畑専務)。

 クラウドを利用したシステム構築やデータベースを得意とするシステムサポートは、転職情報サイトなどを通じて第二新卒を募集する。その狙いについて、「スキルや志向、人柄が当社にマッチする人を採用したいと考えている。年齢で一律に区切ることは行っておらず、第二新卒も募集対象としている」(同社広報)としている。

 学生人気の高い企業も第二新卒を採用する。日本オラクルは営業職の中途採用で第二新卒も含めた若手を積極採用している。「ソーシャルメディア、Webカンファレンス、オンラインデモといった今までとは異なる手法で営業活動を行う」(日本オラクル広報)のが、若手の採用に力を入れる理由だ。

 新卒採用の対象を第二新卒にまで広げる企業も増えてきた。シーエーシーは「より門戸を広げ優秀な人材を獲得するため、8年ほど前から第二新卒の採用を実施している」(同社広報)という。

 過熱する第二新卒の採用市場だが、従来の新卒・中途採用に比べると歴史が浅い。虚実取り混ぜて語られがちだ。例えば、転職希望者は「第二新卒は本当に歓迎されているのか」と不安を持つ。会社側は「短期で離職した人は転職先でも定着しないのではないか」というイメージを持つ。