アジア太平洋地域のスマートフォン広告の拡大基調が鮮明になってきた。スマホ広告を手掛けるCyberZは、アジア太平洋地域のスマホ広告が2014年に前年比2.5倍の1兆2343億円になったとの推計を発表した。日本と中国を中心に全域で市場が拡大した。

 同社はスマホ広告市場が今後も高成長を維持し、2018年には4兆8000億円を超えると予測。日本国内は2016年にも、スマホ広告がネット広告全体の半分を超える見通しだ(図1)。ゲームやECの利用が広がり、成長市場を取り込みたい企業の広告出稿意欲の拡大が背景にある。

図1●アジア太平洋地域全体で2018年には5兆円に迫る(CyberZ/シード・プランニング共同調べ)
図1●アジア太平洋地域全体で2018年には5兆円に迫る(CyberZ/シード・プランニング共同調べ)
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 調査会社のシード・プランニングと共同でまとめた。調査対象は日本、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、インドネシア、オーストラリアなど、アジア太平洋の13カ国・地域。

 最大のけん引役は中国だ。2014年の市場規模は7100億円と、2013年比で4倍近くに急拡大した。新興のスマホメーカーであるシャオミ製の端末が大きく出荷台数を伸ばすなど、スマホ市場が急成長。バイドゥやアリババ、テンセントといった大手ネット企業が、それぞれ数億人規模の利用者を抱えるなど、スマホを使う場面が大きく増えた。

 地域別にみると、高性能スマホが普及しゲームやEC分野の成長期待が高い東アジアに対し、若年層を中心に中長期的な成長期待がかかる東南アジアという構図が浮かび上がる。

 韓国市場は2014年が前年比7割増の839億円。2018年には2014年の約2.3倍に当たる1942億円に拡大すると予測した。台湾市場は2014年が前年比2倍超の143億円だった(図2)。市場拡大の要因はスマホ向けゲーム会社による広告活動だ。両市場とも「課金する志向の強いスマホゲーム利用者が形成している」(同社)。中国や韓国、日本などのスマホゲーム会社が積極的に進出した。

図2●韓国と台湾はゲーム市場がけん引する(CyberZ/シード・プランニング共同調べ)
図2●韓国と台湾はゲーム市場がけん引する(CyberZ/シード・プランニング共同調べ)
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