米マイクロソフトは2016年9月をめどに、PCゲーム「Minecraft(マインクラフト)」の教育用途版「Minecraft: Education Edition」(Minecraft EE)を日本を含む全世界で正式に発売する(写真1)。遊び体験を通じて学べる同ソフトの登場は、国内で盛り上がりを見せるプログラミング教育を加速させる要因になり得る。教材開発などの環境が整うことで、普及を後押ししそうだ。

写真1●マイクロソフトが9月に発売予定のMinecraft(マインクラフト)の教育用途版「Minecraft: Education Edition」
写真1●マイクロソフトが9月に発売予定のMinecraft(マインクラフト)の教育用途版「Minecraft: Education Edition」
(出所:日本マイクロソフト)
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 Minecraftは国内でも小学生などを中心に人気のゲーム。プレーヤーが仮想空間内で、建物を作ったり他のプレーヤーと交流したりして楽しむ。決まった目的のない、「箱庭型」と呼ばれるゲームだ。全世界で1億本の販売を達成した。

写真2●Minecraft EEでは、サーバーなしで30人まで同時に利用できる
写真2●Minecraft EEでは、サーバーなしで30人まで同時に利用できる
(出所:日本マイクロソフト)
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 Minecraft EEは、Minecraftを教育用途に使えるように改良した製品。サーバーを構築せずに30人まで共同利用できる機能(写真2)や生徒の行動を制限したり、学習の進捗を教師が管理したりする機能、生徒をガイドするための「案内人」や「黒板」の機能(写真3)、生徒がレポートを作りやすいように、Minecraftの仮想空間内を自由に撮影する機能(写真4)などを加えた。

写真3●仮想世界内で生徒をガイドするための「案内人」を配置できる
写真3●仮想世界内で生徒をガイドするための「案内人」を配置できる
(出所:日本マイクロソフト)
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写真4●生徒は仮想世界内で“写真”を撮って保存し、他のソフトなどで利用できる
写真4●生徒は仮想世界内で“写真”を撮って保存し、他のソフトなどで利用できる
(出所:日本マイクロソフト)
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 マイクロソフトにとって今回の製品は、ちょうど日本でも盛り上がりつつある若年層向けのプログラミング教育などの市場を狙う製品となる。6月10日には正式発売に先立ち「アーリーアクセス(早期導入)プログラム」の提供を始めた。教育機関などに限り、同ソフトのベータ版をダウンロードして無償で利用できるもので、既に日本語にも対応している。製品版の価格はボリュームライセンスで1ライセンス当たり「1~5ドルの間」になる予定だ。

 Minecraft EEの発売に当たって、同社は比較的低スペックのPCでも快適に動作するようにプログラムを全てC#言語で書き換え、ネイティブ・アプリケーション化した。対応OSはWindows 10およびMac用のOS X。オリジナルのPC版はJavaで書かれており、Java仮想マシン上で稼働するため、快適に使うにはかなり高性能のPCが必要だった。