商船三井は、ばら積み船や自動車船の採算管理や会計・決算を担う基幹系システムを、約10年ぶりに刷新した(写真)。狙いは大きく二つある。一つは、部門ごとに管理する採算情報と全社の月次決算との整合性を担保すること。もう一つは、船舶の柔軟なオペレーションを可能にすることだ。そのために事業部門などの利用者が、正確な採算情報をほぼリアルタイムに把握できるようにした。

写真●商船三井のばら積み船
写真●商船三井のばら積み船
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全社決算と部門内採算を一致させる

 商船三井は2014年4月に新しい基幹系システム「Minerva」を稼働させた。同社のシステム企画、開発などを一手に手掛ける商船三井システムズがプロジェクトマネジメントを担い、約7500人月をかけて開発した大規模システムだ。燃料費や船舶の貸借に関わる費用などを管理し、航海の採算情報を算出する。事業部門などが任意のタイミングで、最新の採算情報を取得できるようにしたのが特徴だ。

 航海ごとの採算は毎回異なる。特に、貨物に合わせて寄港地やスケジュールを変える不定期船は、同じ目的地であっても立ち寄る港や航路などがまちまちなため、燃料費、船員の人件費、港費などのコストが違う。燃料単価も変動する。

 「全社決算と、各部門が管理する採算見積もりとの差がなくなる」。商船三井システムズの木村良樹CSプロジェクト部部長は、新システムの導入効果をこのように説明する。従来、全社の月次決算と部門ごとの採算見積もりとの間には、乖離が生じることが少なくなかった。その度に、経理担当者と各部門の採算管理の担当者が原因調査に当たる必要があり、無視できない負担になっていた。