KDDI(au)は、「auピタットプラン」と「auフラットプラン」と呼ぶ新料金プランの提供を2017年7月14日に始める。どちらも端末購入補助を受けられない代わりに毎月の通信料金を安くした「分離プラン」に当たる。端末を頻繁に買い替えるユーザーはその都度、購入補助を受けられるが、同じ端末を長く使い続けるユーザーは購入補助を受けていない分、損をしているとの声に対応したものだ。

KDDI(au)が2017年7月10日に開催した説明会の様子
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 分離プランを巡っては、NTTドコモが端末購入補助を受けられない代わりに毎月の通信料金を1500円安くした「docomo with」を6月1日に投入済み。KDDIやソフトバンクはサブブランド(UQコミュニケーションズの「UQ mobile」やソフトバンクの「Y!mobile」)と競合するので追随できないと見られていたが、予想を覆して対抗してきた。

 今回の新料金プランは、既存ユーザーにとって朗報。値下げの恩恵を享受できるユーザーは多いだろう。だが、競合他社のユーザーが乗り換えるほどのインパクトはない。今のところ、NTTドコモやソフトバンクが慌てて対抗措置を検討している様子はなく、料金競争の再燃までは期待できなさそうである。

 KDDIの田中孝司社長は7月10日の説明会で「ガツンと行きます」「これで完璧」などと強気な姿勢を見せた。ただ、料金水準がMVNO(仮想移動体通信事業者)に比べて高いのは明らか。

 MVNO対抗というよりは、むしろY!mobile対抗の印象が強い。今後は映像を中心にトラフィックの拡大が進むと想定すれば、毎月の通信量が20G/30Gバイトのauフラットプランにアップセルを図る狙いも大きそうだ。

“4年縛り”は受け入れられるか

 新料金プランの最大のポイントは、NTTドコモの「docomo with」と違い、端末購入を契機としなくても分離プランに切り替えられるようにした点である。端末購入補助「毎月割」の適用が既に終了した既存ユーザーは、真っ先に切り替えるべきだ。

 auピタットプランは5段階の従量制プランのため、データ通信を使い過ぎると通信料金がかえって高くなるリスクはある。ただ、同社の調査によると、約5割のユーザーは契約した通信量を使い切らずに余らせているという。毎月の通信量をしっかりと管理している限りは、通信料金が安くなるはずだ。

契約した通信量と実際の通信量に差があり、約5割のユーザーは通信量を余らせている
契約した通信量と実際の通信量に差があり、約5割のユーザーは通信量を余らせている
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 今後は機種変更のたびに現行プランまたは分離プランを選ぶ方式に切り替わる。仮に問題があれば、次の機種変更で現行プランに戻せばよい。なお、機種変更なしで現行プランから分離プランに切り替えられるのは最初の1回だけの特別措置となる。例えば、次の機種変更で現行プランまたは分離プランを選び、途中で切り替えることはできない。