写真●三菱東京UFJ銀行の本店
写真●三菱東京UFJ銀行の本店
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 三菱東京UFJ銀行が、仮想通貨取引所のグローバル大手である米Coinbaseに出資、戦略的パートナーシップを締結した(関連記事:仮想通貨取引所大手の米Coinbaseに三菱東京UFJ銀行が出資)。年内の日本進出を予定する同社に、三菱東京UFJ銀行が数億円を出資する(写真)。国内最大手の銀行と仮想通貨業界のガリバーが手を組んだことで、仮想通貨やブロックチェーン活用の普及に弾みがつきそうだ。

 三菱東京UFJ銀行は、幅広い領域での協業を模索する。有力な協業候補の一つが、仮想通貨の強みを生かしやすい国際送金の分野だ。法規制への対応などクリアすべきハードルは少なくないが、仮想通貨を使えばコルレス銀行(中継銀行)などを介した国際送金の仕組みを迂回でき、手数料の削減や期間の短縮につなげられる可能性がある。

 既存の国際送金の仕組みは複雑だ。ある企業が海外の企業に送金する場合、国内銀行、海外のコルレス銀行、海外の現地銀行など複数の銀行を経由するのが一般的。そのため手数料が高くつき、着金までに時間を要する。さらに、コルレス銀行の手数料は統一されておらず、国際送金にかかる費用が不透明という課題を抱えている。

 Coinbaseは、仮想通貨業界のガリバーとも呼べる存在。30以上の国で事業展開しており、世界的にも厳しいとされる米国ニューヨーク州の仮想通貨ライセンス、「BitLicense」も近く取得する見込みだ。三菱東京UFJ銀行は、Coinbaseが仮想通貨業界で世界的に大きな影響力を持っている点を評価したとみられる。

 日本では2016年5月に改正資金決済法が成立、1年以内の施行が決まった。仮想通貨が法的な位置づけを得たことで、新規参入が相次ぐなど業界は盛り上がりをみせている。仮想通貨業界にとって今回の提携は、仮想通貨やブロックチェーンを活用した新サービス創出など業界の活性化に向けた後押しになると同時に、強力なライバルが登場したことを意味しそうだ。