「営業資料の準備がとても早く終わるようになった」。そう話すのはミサワホームの川口営業所に勤める原田恵介 川口営業課課長だ。2017年6月には営業担当者の活用が軌道に乗り始めたクラウド上の新システムで新築戸建物件の営業活動が効率化した。

高精細な3DCGを使って営業をする原田恵介 川口営業課課長(右手前)
高精細な3DCGを使って営業をする原田恵介 川口営業課課長(右手前)
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 ミサワホームが導入したのは、住宅の設計データから3次元(3D)の高精細なコンピュータグラフィックス(CG)を作る「クラウドレンダリングシステム」だ。Amazon Web Services(AWS)の仮想マシン上に、ブルガリアのIT企業であるカオスが開発したCG作成用ソフト「V-Rayクラウド」と、金沢市に本拠を置くソフト会社シーピーユー製のCAD(コンピューターによる設計)ソフト「MADRIC AD-1」を使って構築した。約2カ月の試験利用を経て2017年5月ごろから全営業所への導入を開始。使い方を習得した営業担当者から業務利用が始まっている。

 このシステムを使えば、実写のように高精細なCGを1分程度で作れる。営業担当社が顧客と商談しながら、建材を変えたり間取りを変えたりしてその場でCGを表示できる。

 同水準のCGを作るには高性能なPCでも約30分、性能が低いPCだと約8時間かかる。高性能なクラウド上の仮想サーバーを使ったことで短時間でCGを作れるようになった。

 システム導入以前も営業担当者はPCにインストールしたソフトを使って精緻なCGを作り営業活動に使っていたが、「色の表示はできるが建材の質感などが表現できず、建築時のイメージがしにくかった」(原田課長)という。

VR(仮想現実)を使って建築予定物件を内覧する様子。ドアやキッチンの配置を工夫して空間を広く使える狭小住宅の営業に有効だという。間取り図からは実際の広さがイメージしづらかった
VR(仮想現実)を使って建築予定物件を内覧する様子。ドアやキッチンの配置を工夫して空間を広く使える狭小住宅の営業に有効だという。間取り図からは実際の広さがイメージしづらかった
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 リアルなCGが見えることで、営業担当者が顧客の決断を後押ししやすくなった。以前なら「早くても3~4カ月、長ければ1年かけて顧客と商談していた」(原田課長)が、システムを導入したことで「営業方法を特別に変えていないにも関わらず2カ月で契約が決まった」という。