総務省が公表した、「060」で始まる電話番号(以下、060番号)に関する規則などを改正する省令案。2017年6月23日に公表されてから、「060番号が携帯電話に開放される」という認識が広がっているが、厳密には開放が決まったわけではない。060番号を携帯電話向けに「留保」すべく、用途を見直すだけだ。

 むしろ、業界関係者の間で話題となっているのは、これまでほとんど使われていなかった060番号の利用を希望する事業者が新たに現れたことである。

FMCサービスの用途を0600に移行

 総務省によると、2017年3月末時点で080番号と090番号はすべて指定済み。元々はPHSに指定されていた070番号も2013年11月に携帯電話向けに開放してから消費ペースが上がり、残るは2590万番号となっている。

 ただ、2017年1月には020番号をM2M/IoT向けに新たに開放(10月に開始予定)したため、直ちに番号の枯渇を心配する状況ではない。020番号は2017年5月時点で1640万番号を指定済みで、6360万番号が残っている。

「0A0」で始まる電話番号の使用状況。携帯電話向けの番号枯渇が直ちに心配される状況ではない。
「0A0」で始まる電話番号の使用状況。携帯電話向けの番号枯渇が直ちに心配される状況ではない。
出所:総務省
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 そもそも「060番号を将来的に携帯電話向けに利用することを見据えて留保しておく」方針は2015年12月に決定済み。なぜ今回の見直しに至ったかと言うと、冒頭の通り、060番号本来の用途で使いたいとする事業者が現れたことにある。

 本来の用途とは、固定と携帯を融合したFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスだ。そこで、FMCサービスの用途を0600(4桁目も指定)に移行し、0601~0609を携帯電話の将来的な番号枯渇に備えて開けておく(指定自体は別途検討)というのが今回の見直しになる。

今回の見直しの概要。これまではFMCサービスの用途に0601~0609を割り当てていたが、0600に移行する。
今回の見直しの概要。これまではFMCサービスの用途に0601~0609を割り当てていたが、0600に移行する。
出所:総務省
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