グーグルが日本でクラウド型グループウエア「G Suite」の巻き返しに動き出した。切り札は人工知能(AI)技術と検索技術だ。業務支援機能を強化し、ホワイトカラーの定型作業を効率化する。働き方改革の機運が高まる日本で、「Office 365」を擁しシェア首位の日本マイクロソフト(MS)に挑む。

 「退屈な作業をAIで置き換え、効率よく働けるようにする」。2017年6月14日、米ヴイエムウェアの元CEO(最高経営責任者)である米グーグルのダイアン・グリーン シニアバイスプレジデントは、都内の講演でG Suiteの強みを語った。

Google Cloudを統括するダイアン・グリーンシニア バイス プレジデント
Google Cloudを統括するダイアン・グリーンシニア バイス プレジデント
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 グーグルが強調した業務支援機能のほとんどはAIと検索技術を使う。例えば電子メール「Gmail」の返信支援機能。AIが返信文を提案し、利用者は選ぶだけで返信できる。グーグルによれば英語圏のGmailから送られる返信の8分の1はAIが作った文章による。

 利用者が目的の文書ファイルを探す手間も省く。ストレージサービス「Google Drive」、予定管理の「Googleカレンダー」などを連動させ、行動予定などから利用者が使いそうなファイルを自動で検索して表示する。

 グーグルの調査によると、ホワイトカラーの就業時間の95%は定型作業に割かれている。同社がG Suiteの新機能で支援しようとしているメールの返信やファイル検索のほか、申請書類や伝票の作成、会議日程の調整などだ。