世界のスーパーコンピュータの省エネ性能ランキング「Green500」が2017年6月19日に発表され、日本勢が首位~4位までを独占した。いずれもディープラーニング(深層学習)をはじめとしたAI(人工知能)演算の用途を見据えたもの。企業が画像・音声認識や対話システムなどのAI技術を開発するうえで心強い味方になりそうだ。

民間企業ではヤフーが世界首位となった
民間企業ではヤフーが世界首位となった
表 Green500で首位~4位にランクインした日本勢のスパコン
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 Green500では、2013年11月に東京工業大学の油浸スパコン「TSUBAME-KFC」が日本勢として初めて首位を獲得して以降、日本勢は継続して上位に顔を出している。2015年6月以降は、国内スパコンベンチャーのPEZY Computingが理化学研究所に納入した「Shoubu(菖蒲)」が3期にわたって首位を維持。2016年11月にはGPU(画像処理プロセッサ)ベンダーの米エヌビディアが自ら設計したAIスパコン「DGX-1」にその地位を明け渡したが、今回改めて東工大の「TSUBAME3.0」が首位を奪還した。

 ランクインしたスパコンを保有する組織のうち、民間企業で最高位を獲得したのはヤフーだ。深層学習に特化したスパコン「kukai」が2位となった。

ヤフーの省エネスパコン「kukai」
ヤフーの省エネスパコン「kukai」
(出所:ヤフー)

 kukaiは電力1ワット当たり実行演算性能14.0ギガFLOPS(1秒当たり浮動小数点演算回数)を達成。首位を獲得した東工大の「TSUBAME3.0」の14.1ギガFLOPSに対して僅差だった。前回首位のスパコンと同じエヌビディア製GPU「Tesla P100」を採用するが、電力当たり性能を約1.5倍に高めた。

深層学習演算の省エネ化に期待

 ヤフーの角田直行テクニカルディレクターは「我々は顧客向けサービスの多くに深層学習を応用している。深層学習の処理に特化した計算環境を準備する必要があった」と説明する。