求人情報のリブセンスが、転職を希望するITエンジニアと企業の新たなマッチングサービス「転職ドラフト」に力を入れている。企業は専用サイトに表示されている登録エンジニアの中から獲得したい人を指名し、年収を提示。エンジニアが指名を承諾すれば連絡を取り合って採用選考に進む。

写真1●ITエンジニアの転職支援サービス「転職ドラフト」
写真1●ITエンジニアの転職支援サービス「転職ドラフト」
(出所:リブセンス)
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 4月実施の第1回では想定を超える約900人のエンジニアから応募があり、リブセンスはこのサービスの潜在需要が大きいと判断。第2回はドラフト参加企業を増やし、7月中旬から始めることにした(写真1)。

 転職ドラフトの専用サイトでは参加者を本名ではなくID番号で表示するが、その他の情報をプロ野球のドラフトのように一般公開するのが特徴だ(写真2)。参加者が持つスキルや経験分野のほか、ドラフト指名した企業や年収のおおまかな水準、参加者が指名を承諾したかどうかなどの進捗状況も分かる。

写真2●ドラフト参加者のスキルや入札企業を一般公開しているWebページ
写真2●ドラフト参加者のスキルや入札企業を一般公開しているWebページ
(出所:リブセンス)
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 さらに、参加者と企業の間では指名の理由や具体的な提示金額、職務経歴など、より具体的な情報も共有する。参加者は、企業が他の参加者に提示した金額も調べることが可能。こうした待遇の「見える化」を通じ、参加者は自分の市場価値や相場を把握したうえで転職活動に臨めるようになる。

 求人する企業側にも、これまで転職市場に出てこなかった優秀な人材を自ら発掘しやすくなるなどのメリットがある。従来は人材仲介会社を通じて条件が合う人を探してもらう時間や手間が掛かっていた。

ドラフト参加企業は40社に

 「日本のITエンジニアはスキルが高くても待遇が抑えられがちだ」と、転職ドラフトのプロジェクトリーダーを務めるリブセンスの鵜飼勇人アルバイト事業部長は指摘する。その背景には「海外に比べ人材の流動性が低く、自分の市場価値を客観的に把握するチャンスが少ない」(鵜飼部長)ことがある。こうした現状を改善するのがサービス提供の狙いだ。

 第1回は約900人のITエンジニアから応募があり、書類選考を突破した235人がドラフトに進んだ。1人で複数の指名を受けるケースも多く、指名数は延べ393件に達した。

 盛況を受け、企業の注目も高まっている。第2回転職ドラフトの参加企業は40社で第1回の17社から大幅に増加した。ディー・エヌ・エーやミクシィなどのネット系企業やスタートアップ企業が主流だが、サイボウズなど企業向けサービスを手掛ける会社も参加している。

 第2回は7月12日にエンジニアの応募を締め切り、14日から27日にかけドラフト指名や参加者の回答を実施する。リブセンスは今後もドラフトを継続する考え。参加企業をIT企業だけでなく一般の企業などに広げ、ITエンジニア限定ではなく職種も増やす方針だ。