企業システムのインテグレーションを手掛ける米アピリオが、事業戦略の転換を図っている。米セールスフォース・ドットコムなどのクラウドサービスを活用したシステム構築で実績を積んできたが、創業10年目を迎えた2016年の10月、インドのIT大手ウィプロに買収された。今後は、ウィプログループのクラウド事業の牽引役としての役割を果たす。特に企業のクラウド活用のコンサルティングに力を入れ、より上流工程から企業のクラウド活用を支援する。

 「ウィプログループの中で、アピリオは“変化の媒介役”としての役割を担っている」。米アピリオのクリス・ハイネケンCOO(最高執行責任者)は話す。各国企業からERP(統合基幹業務システム)などの開発/運用委託を受けて成長したウィプロだが、パブリッククラウド台頭の波に直面。変化を迫られている。

米アピリオのCOO(最高執行責任者)クリス・ハイネケン氏(右)と、アピリオ日本法人代表取締役社長兼米アピリオ副社長の渡邉崇氏
米アピリオのCOO(最高執行責任者)クリス・ハイネケン氏(右)と、アピリオ日本法人代表取締役社長兼米アピリオ副社長の渡邉崇氏
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 そこで、パブリッククラウドのノウハウが豊富なアピリオに白羽の矢が立った。買収に伴って、ウィプロ本体のクラウド部門はアピリオが吸収。約600人がアピリオに移籍した。インドをはじめ欧米やオーストラリアなど各国の人員が連携し、クラウド事業を拡大する。「ウィプロはアピリオの価値を理解してくれており、買収後も独立性を保って活動している」(ハイネケン氏)。逆に、アピリオが展開してきたコンテスト型クラウドソーシング「topcoder」はウィプロ本体に移管された。

従業員の幸せが、顧客の幸せに

 ウィプロ買収後のアピリオは、「クラウドを使ったシステム構築だけでなく、企業のトランスフォーメーションを支えるコンサルティングに力を入れる。キーワードは“ワーカー・エクスペリエンス”だ」(ハイネケン氏)。企業の従業員の働き方を変革することで、その企業のブランド力や競争力を高めるという。