ドローンの本格活用を推進するため、運航管理システムを研究開発する国家プロジェクトが始動する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2017年6月15日、「無人航空機の運航管理システム」の研究開発に関する説明会を開催。ドローンを活用するための基盤となるシステムを3年間で開発し、実用化を目指すことを明らかにした。

説明会で展示された、ドローンの実証イメージ機
説明会で展示された、ドローンの実証イメージ機
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 プロジェクトの狙いは、ドローンを運航させる共通基盤としての運航管理システムをつくり、安全にドローンを活用出来る環境を整えることだ。主に物流、災害状況把握、警備・防犯などで活用されることを見据えている。

 2017年4月から3年間を予定。2017年度で33億円の政府予算がついている「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」(実施期間:2017年4月から2022年3月まで)の一環だ。

プロジェクトの概要
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 経済産業省製造産業局の糟谷敏秀局長は、「様々な事業者が活躍できるよう、ドローンの運航を管理する共通のプラットフォームを作る必要がある」と、プロジェクトの意義を説明する。

 ただしドローン運航管理システムの研究開発は、海外が先行する。「NASAなどが研究開発を進めており、国際的にはすでにレッドオーシャンだ。後れをとってはならない」と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の伊藤文和理事は強調する。

システム開発の期限は3年間

 運航管理システムはドローンを国内のビジネスで活用するための中核となる。有人航空機の航空管制システムと同様、ドローンのような無人航空機においても運航管理システムの整備は不可欠だ。ドローンを本格的に社会で活用していくためには、操縦者やドローンを監視する役目の「補助者」の目が届かない「目視外飛行」を都市部でも可能にする必要がある。その実現のためには、ドローンの運航状況管理や、自動衝突回避などの技術が重要となる。

 具体的なテーマは2つある。1つめは、「安心・安全で効率的な物流等のサービスを実現する運航管理システムの研究開発」だ。飛行計画や運航情報管理、物流分野での実用化など、運航管理システムを構成する各種機能を開発する。NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天の5社体制で進める。

 2つめのテーマは、「運航管理システムの全体設計に関する研究開発」だ。運航管理システムの全体的なコンセプト作りや検証を、JAXAが担当する。海外における運航管理システムの技術開発や標準化動向をにらみながら、研究開発を進める。

 NEDOは、このプロジェクトの成果を国際標準につなげたい意向だ。