ヤマハは2017年6月、同社のWebサイトにSIPサーバー「YSL-V810」の製品情報を追加した。新製品なのに、同社はプレスリリースを出していない。
さらにYSL-V810は、SIPサーバーとして少し特殊な方法で提供される。ヤマハはYSL-V810を、同社の既存製品であるルーター「RTX810」で動く“ソフトウエア”として販売するのだ。しかもYSL-V810単体では販売せず、RTX810とセットでしか販売しない。ユーザーが既にRTX810を所有していても、それにインストールして使うことはできない。
企業では現在、SIPサーバーを単独で運用するケースは減っている。SIP機能がPBX(構内交換機)やネットワーク機器に統合されたり、クラウドサービスとして提供されたりするようになったからだ。では、ヤマハはどうしてSIPサーバーを復活させたのか。その答えは、ひっそり発表した点とこの特殊な提供方法に隠れていた。
SIPサーバーではなく電話帳サーバー
ヤマハは、2005年11月に発売したSIPサーバー「RTV01」の生産を2014年9月に終了した。YSL-V810はRTV01の後継機で、同社として約3年ぶりのSIPサーバー製品である。復活させた最大の理由は、RTV01を使い続けたユーザーを救済するためだ。まず、RTV01をどんなユーザーが使っているのかを見ていこう。