職場の風通しの良さが目で見て分かる--。三井ホーム子会社でオフィスの設計やコンサルティングなどを手掛ける三井デザインテックが、ITを駆使した新ビジネスに乗り出す。日立ソリューションズと協業し、従業員のオフィスでの会話量を可視化するツール「インテリジェントサーベイ」の開発を始めると2017年5月19日に公表した。

 同社の岡村英司氏(スペースデザイン事業本部 ワークスタイル戦略室 室長)は「オフィスのレイアウトを見直して従業員同士の会話を活発にしたい企業に提案する」と狙いを話す(写真)。

写真●三井デザインテックの岡村英司氏(左)と大川貴史氏
写真●三井デザインテックの岡村英司氏(左)と大川貴史氏
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 働き方改革の支援をうたうITツールは最近相次いでおり、インテリジェントサーベイもその一種といえる。ただし、IT以外を本業とする企業が前面に出るのは珍しい。今後同様の動きが広がるか、注目される。

センサーで取得した温度や赤外線から「会話」を把握

 インテリジェントサーベイの会話量を可視化する仕組みは、IoT(Internet of Things)デバイスとソフトウエアを組み合わせて実現する。温度や赤外線、Bluetoothを感知するセンサーが、社員が携帯するBluetooth端末から情報を取得し、人の居場所や滞在時間といったデータをクラウドに蓄積。これを手がかりに、誰がどの程度会話しているかを推測。その結果をソフトウエアでリアルタイムに表示する。

 結果の表示方法は検討中という。会話が活発なスペースとそれ以外を色分けして地図のように表示する、一定期間における会話量の増減をグラフ表示するといった方法が考えられそうだ。

 岡村氏はITツールの開発に着手した理由を、「ここ1、2年で従業員のコミュニケーションを増やしたいと考える企業の経営者が増えているため」と話す。このような要望に対し、オフィスレイアウトの設計によって会話が生まれやすい場作りを提案してきたものの、課題があった。「本当に会話が増えたかどうか、成果を客観的に確認しにくかった」(岡村氏)。