2015年6月19日、特定労働者派遣制度や専門26業務の撤廃を盛り込む改正労働者派遣法案が、衆議院で可決した。与党は今国会の会期を大幅に延長する方針で、今後、参議院を通過して法案が成立する公算が大きい。2015年9月1日の施行まで既に3カ月を切っており、派遣技術者本人や派遣先、派遣元企業は確認を急ぐ必要がある。

 3度目の国会提出で、ようやく成立のメドが立った。改正派遣法は過去に2度国会に提出されたものの、法案の記載ミスや衆院解散で、ほとんど審議しないまま廃案に追い込まれた。今国会では審議入りしたものの、改正法案は派遣社員の固定化を招くとして野党が反発。さらに、日本年金機構の情報流出問題で審議が滞った。

 今回の法改正では、届出制だった特定労働者派遣が廃止され、全面的な許認可制に移行する(関連記事:特定労働者派遣廃止の衝撃)。許認可を受けるには、一定の資産要件などをクリアする必要がある。

写真●労働者派遣法を所管する厚生労働省
写真●労働者派遣法を所管する厚生労働省
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 IT企業が特定労働者派遣の届け出をして、システム開発や保守・運用の現場に技術者を派遣することは珍しくない。派遣元企業は、自社が要件を満たせるのかを改めてチェックしなければならない。派遣技術者の受け入れ企業は、派遣元企業が事業を継続できるかの確認を迫られる。

 「ソフトウエア開発」などの専門26業務も撤廃される。現行法では専門26業務に携わる派遣技術者については、派遣期間の上限がなかった。改正法が施行されると、1人の派遣技術者が同じ派遣先で働ける期間は、原則として最長3年という制限が生じる(関連記事:最長3年へ、派遣の専門26業務撤廃)。長期間にわたって派遣技術者にシステム開発、運用などを任せている企業は、引き継ぎの可否などを検討する必要がある。