「ビジネスのトレンドは、グローバル化とデジタル化の二つ。最新技術を活用し、世界中の顧客、取引先、9万人の従業員が双方向にコミュニケーションできる仕組みをアクセンチュアと一緒に考え、小売業の枠を超えた世界初となる利便性の高い顧客サービスを実現する」。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はこう意気込む。
ファストリはアクセンチュアとデジタル戦略の分野で協業することを6月15日に発表。将来的には、最新IT(情報技術)の利活用で事業強化を推進する合弁会社を設立する。
アクセンチュアとの協業の狙いは大きく二つある。一つは、店舗とネットを融合させるなど、革新的な買い物体験ができるような顧客サービスを実現することだ。もう一つは、「業務プロセスの完全デジタル化」を図り、商品企画から販売までのリードタイムを短縮することである。
店舗とネットの融合を実現するための具体的な方策の一つは、顧客データのフル活用だ。世界3000店舗やネットを利用する顧客を会員化して、今秋にも新たな顧客データベースを構築。購買履歴データを分析し、顧客の嗜好に合わせた商品の提案や、商品関連情報を提供する。「デジタル化を軸にして、リアルとバーチャルを融合した全く新しい産業を作る」。ファストリの玉置肇グループ執行役員CIO(最高情報責任者)はこう言い切る。