富士通や日立製作所、NECといったITベンダー各社が、ドローンを利用したソリューションやシステムの開発に乗り出した(表)。ドローンを使ったシステムで、橋梁などのインフラ点検や、災害現場での調査作業などを効率化する。搭載するカメラやセンサーで収集したデータを解析し、橋梁の劣化状態や災害現場の被害状況などの調査に生かす。ドローンを使えば、作業員が危険な場所に行く必要がなくなるほか、人手で実施していた作業に比べて作業時間を短縮できる。
企業 | 目的 | 使用するドローンの機体 | データの活用方法 |
---|---|---|---|
富士通 | 橋梁の点検 | 名古屋工業大学と共同で設計・開発 | 収集した画像データから3Dモデルを作成 |
日立製作所 | 土砂災害現場の調査 | エンルートが開発 | カメラやセンサーで災害現場の様子をデータベース化 |
日立ソリューションズ | 製鉄所で鉄鋼原料の在庫量を算出 | 産業用の機体を使用 | カメラで撮影した画像データを基に3Dモデルを作成 |
NEC | 大型設備の点検・保守や警備・監視などに検討 | 自律制御システム研究所が開発 | カメラやセンサーなどを搭載し、データ収集に役立てる |
ITベンダー各社が注力するのは、ドローンの機体開発ではなく、収集したデータを活用するためのシステム作りだ。「単にドローンを飛ばすだけでなく、ドローンで収集したデータを活用する〝プラットフォーム”を開発したい」(NEC防衛ネットワークシステム事業部第五システム部の丸山正晃マネージャー)。収集したデータの通信方法や、解析するためのソフトウエア開発などに、各社の強みを生かす狙いだ。
橋梁点検の作業時間を短縮
「ドローンを駆使して、社会インフラの点検作業を効率化する」――。
こう語るのは、富士通セーフティソリューション事業本部の沢崎直之本部員。同社は、名古屋工業大学、東京大学、北海道大学と共同で、ドローンを使って橋梁の点検をするシステムを開発する(写真1)。
狙いは作業時間の短縮だ。ドローンを使うことで、点検箇所のデータを短時間で収集できる。収集した画像データはデータベースに蓄積して解析し、橋梁の3Dモデルを作成する。3Dモデルから点検報告書を作成するアプリケーションも開発する。点検から作業の報告までの作業全体を効率化する。