米グーグルが2015年第3四半期にリリースする次期モバイルOS「Android M」の切り札は、同社が強みを持つ人工知能技術になりそうだ。2015年5月28日(米国時間)、サンフランシスコ市内で開催した年次イベント「Google I/O 2015」でAndroid Mの新機能を発表。人工知能によって検索の手間を大幅に軽減したほか、無料の写真保管サービスにも応用した。

 競合の米アップルも人工知能関連の開発を急いでおり、人工知能による質問応答システム「Watson」を持つ米IBMとも提携済み。グーグルはいち早く先端技術を投入することで、スマホを巡る主導権争いで優位に立ちたい考えだ。

 人工知能を活用した機能の代表格が、スマートフォン(スマホ)のボタンをタップ(長押し)するだけで、人工知能がその時点でユーザーにとって最適な情報を提供してくれる「Now on tap」だ()。例えば電子メールを読んでいる時にボタンをタップすると、人工知能がユーザーの電子メールを読み込んで内容を理解。その電子メールの内容を補完する情報を提供する。

表●グーグルが発表した人工知能を活用した機能やサービス
人工知能がユーザーの意図や写真の被写体を理解
サービス名称概要
Now on tap「Android M」の新機能で、ユーザーの現在の行動内容を人工知能が理解し、ユーザーに最適な情報を提供する
Google Photos容量無制限のフォト・ストレージ・サービス。人工知能が写真の被写体を識別。ユーザーはキーワードで被写体を検索できる

 Google I/Oの基調講演では、「『Tomorrowland』という映画を今晩見ないか?」と書かれたメールを受け取ると、画面の下部に当該映画に関する情報が表示されるデモを行った。人工知能がメールの内容からユーザーが映画に関心を持っていると判断し、それに合う情報を探して提示したわけだ。

 Now on tapは、Androidのパーソナルアシスタント機能「Google Now」の機能を拡張するもの。従来のGoogle Nowでは、「OK Google」と音声でスマートフォンに話しかけてから、質問文(クエリー)を読み上げる必要があった。Now on tapではクエリーは不要。人工知能がユーザーに代わって、クエリーを作成してくれるからだ。