2015年5月1日から、イタリアで2015年ミラノ国際博覧会(ミラノ万博)がスタートした(10月31日まで)。日本政府は参加国で最大級の敷地面積約4170平方メートルを確保し、日本の食文化をテーマとした「日本館」を出展している(写真1、2)。
一見すると、料理や食材に関する展示や、和食を味わえるフードコートなどが主役に見える。だが、実はITが“影の主役”として大きな役割を果たしている。
日本館の展示を統括する日本貿易振興機構(JETRO)の安藤勇生展示事業部主幹・ミラノ万博日本館副館長は、「これまでの万博は、展示を見て終わりだった。今回は初めての試みとして、万博会場を出た後にスマートフォンで内容を振り返ってもらいやすい仕組みを用意した」と話す。
出展の目的は、食文化について外国人に理解を深めてもらうこと。しかも、その場限りの体験に終わらず、日本食のファンになってもらい、国産農産物の消費拡大や訪日観光客増加につなげたいところだ。そのために、ITを活用した情報提供が鍵を握る。
日本館アプリと「情報の滝」を同期
具体的には、来場者が入館前に並ぶ行列で、「日本館アプリ」のダウンロードを促す。アプリにはiOS/Android版があり、英語・イタリア語・日本語に対応する。日本館のWebサイトのリンク先のApp Store/Google Playからダウンロードできる。
入館すると、展示順路序盤のヤマ場として、「ダイバーシティーの滝(情報の滝)」というインスタレーションがある(写真3)。円形のテーブルの中央に突出した“滝”の上部から、プロジェクションマッピングの原理で投影された写真が次々と落下して、来場者の手元に流れて来る。写真は産地や食材、料理、食器など約1000種類ある。