通信大手3社の2017年3月期決算が出そろった。NTTとソフトバンクグループは為替の影響を大きく受けたものの、3社とも増益が目立った。主力の携帯電話事業は市場の成熟化や競争の同質化が顕著となってきたが、モバイル通信料収入の拡大や販売奨励金の削減、光回線の拡販で利益成長につなげている。

通信大手3社の2017年3月期(2016年度)連結決算
通信大手3社の2017年3月期(2016年度)連結決算
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 NTTの営業利益は前期比14.2%増の1兆5397億円だった。減価償却方法を定率法から定額法に変更した影響(約680億円の増益効果)が大きいが、これを差し引いても1200億円以上の増益となる。NTTドコモは携帯電話や光回線の通信料収入が順調に拡大したほか、NTT東西も光回線の卸提供「光コラボレーションモデル」への移行による営業費用の削減効果が続いた。

 KDDIの営業利益は同9.7%増の9129億円。au通信ARPA(アカウント当たり月間平均収入)が順調に伸び、2017年3月期は同140円増の5830円(パーソナルセグメント)だった。コンテンツ配信などのサービスで構成する付加価値ARPAも同70円増の510円と好調。さらに販売奨励金の削減は850億円と通期予想(560億円)を大幅に上回った。

 ソフトバンクグループの営業利益は同12.9%増の1兆259億円。携帯電話端末の流通・販売を展開する米ブライトスターに係るのれん減損、ヤフー子会社アスクルにおける災害損失などはあったが、スプリントの業績回復が利益拡大に大きく貢献した。為替の影響を差し引いても1200億円以上の増益効果が出ている。国内通信事業でも光回線(SoftBank 光)や格安スマホ(Y!mobile)を中心に販売促進費や広告宣伝費を約268億円積み増す一方、ソフトバンクブランドを中心に販売手数料を約660億円削減し、増益につなげた。