拡大する中国向け越境EC(電子商取引)に新顔が登場した。名前は「bolome(ボロミー)」。スマートフォン版の生中継テレビ通販とも言えるサービスだ。日本の店頭と中国を結び、消費者はテレビショッピングの感覚で買い物ができる。生中継画面には利用者のコメント投稿を表示。メーカーが直接、中国消費者に回答できる。日本の本物を求める中国消費者の支持を受け、流通総額は月額10億円を超えた。中国への販路に悩む日本企業に、見逃せない選択肢になりそうだ。

スマホ画面にコメントが並ぶ
スマホ画面にコメントが並ぶ
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 「はーい、今日は銀座にあるノエビアのショールームにやってきました」「こちらは大人のニキビ肌に効果のある商品です。今回の商品シリーズはメーク落とし、洗顔料、化粧水、美白もできる効果のある乳液、いまニキビが出来ているところにつけて改善できるクリームです」

 東京・銀座にある、化粧品大手ノエビアのオフィス。スキンケア商品「NOV(ノブ)」シリーズが並んだショールームでは、数人の女性が日本語と中国語を交えて話ながら商品を試していた。

 傍らではスマホを構えたスタッフが、商品を試す女性らを撮影する。画面には女性らの様子と並んで、中国語の文章が次々に映し出されていた。

 これはbolomeによる日本商品の「実演販売」風景だ。出演していた女性はbolomeの社員とノエビアの化粧品販売員。テレビで生中継する通信販売番組よろしく、実際にニキビ対策商品を試して、使用感をその場でレポートしたり販売員が商品の背景を説明したりする。

商品の実演販売の様子をライブ中継
商品の実演販売の様子をライブ中継
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 bolomeの最大の特徴が、この生中継(ライブ)による実演販売だ。bolomeは海外のECサイトを通じて日本の商品を販売する越境ECサービスの一つ。ほとんどの越境ECサイトが一般的なECサイトと同様に商品カテゴリーと写真が並ぶ構成をとる中、ライブ動画主体のbolomeは異色の存在だ。

 ただし、撮影に使う機材も視聴するための機材も全てスマートフォン。撮影スタッフは重厚なテレビカメラの代わりに、自撮り用のセルフィースティック片手に出演者を狙う。視聴者はライブを見ながら、スマホ画面中にあるボタンを押して商品を購入できる。