NTTドコモが社長交代を発表。加藤薫社長(左)は相談役に退き、後任を吉澤和弘副社長(右)が務める(5月13日、東京・大手町)
NTTドコモが社長交代を発表。加藤薫社長(左)は相談役に退き、後任を吉澤和弘副社長(右)が務める(5月13日、東京・大手町)
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 NTTドコモは2016年5月13日、代表取締役副社長の吉澤和弘氏が6月16日の株主総会・取締役会を経て代表取締役社長に昇格する人事を発表した。現代表取締役社長の加藤薫氏は代表権のない取締役相談役に退く。

 2期4年務めた加藤社長の最大の功績は、「ドコモ一人負け」と言われKDDI(au)やソフトバンクへ契約者の大量流出が続いていた状況からゲームチェンジを図ったこと。そして、スマートフォン(スマホ)販売の先細りを予見し、そうなる前に「スマートライフ領域」と呼ぶ新分野の収益化に道筋を付けたことだ。

じり貧の通信サービス収入補ったスマホブーム

 ドコモの営業収益(売上高に相当)は、加藤社長の就任直前の2012年3月期に4兆2400億円。これを直近の2016年3月期には4兆5271億円に引き上げ、2017年3月期予想では4兆6200億円まで伸ばす。

 実はこの間、屋台骨といえる通信サービス収入はじりじりと減少している。2012年3月期に3兆3340億円あったものが、2016年3月期には2兆8155億円と、5000億円以上の減収だ。

NTTドコモの営業収益(売上高に相当)と営業利益の推移。通信サービス収入減をスマホ販売増で補いつつ、「その他」の新規事業を育成してきた
NTTドコモの営業収益(売上高に相当)と営業利益の推移。通信サービス収入減をスマホ販売増で補いつつ、「その他」の新規事業を育成してきた
(グラフはNTTドコモの資料から編集部が作成)

 それを補ったのがここ数年の「スマホ特需」ともいえる状況だ。韓国Samsung Electronics製の「GALAXY」シリーズやソニーモバイルコミュニケーションズ製の「Xperia」シリーズといったAndroid端末を、メーカー各社と地道に育て上げ、使い勝手やバッテリー寿命など当初の課題をクリアして普及にこぎ着けた。

 営業収益のうち端末機器販売収入は、2012年3月期の4989億円から2016年3月期には8605億円へ伸び、通信サービス収入の減少を補った。