減収増益――。富士通とNECの2015年3月期決算の結果だ。富士通の売上高は前の期比0.2%減の4兆7532億円、営業利益は同21.3%増の1786億円。NECは、売上高が前期比3.5%減の2兆9355億円で、営業利益は同20.6%増の1281億円だった()。

表●大手ITベンダー5社の連結決算
表●大手ITベンダー5社の連結決算
富士通を除く4社が、増収増益を見込む
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 富士通の減収要因は、「ユビキタスソリューション」の苦戦だ。国内の公共・金融分野のシステム開発受注が好調だったものの、PCの出荷台数が約2割減少するなど足を引っ張った。前期に350億円以上の赤字だった携帯電話事業は、構造改革が奏功し黒字回復。増益に寄与した。

 NECは27年ぶりに売上高3兆円を割り込んだ。ビッグローブの非連結化によって800億円の減収。通信事業者を対象とするSDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)事業も振るわなかった。NECの遠藤社長は、「着実に前進しているが、通信事業者向けのSDN市場の出足が想定より1年半ほど遅れている」と言う。

 営業利益率は前期3.5%だったのが4.4%に改善した。特に、航空・宇宙や消防・防災分野のシステム構築サービスが堅調で、増益に貢献している。