「ソフトウエアがビジネスの成功に直結する時代。Visual Studioはソフトウエアの開発を高速化することで、ビジネスを支援する方針を打ち出している」。統合開発環境「Visual Studio(VS)」の機能強化の方針について、日本マイクロソフトの相澤克弘氏(マーケティング&オペレーションズ部門 クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウドプラットフォーム製品マーケティング部 エグゼクティブ プロダクト マネージャー)はこう説明する。

 米Microsoftは2017年3月7日、VSの新版となる「2017」の正式出荷を開始した。米Microsoftのクラウドサービス「Azure」のPaaS(Platform as a Service)機能との連携をマウス操作で行えるようにしたほか、自動テスト機能「ライブユニットテスト」の機能を追加するなどの機能強化を実施した。

図●米Microsoftの「Visual Studio 2017」の新機能「ライブユニットテスト」の画面例
図●米Microsoftの「Visual Studio 2017」の新機能「ライブユニットテスト」の画面例
(画像提供:日本マイクロソフト)
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 「VSは20年の歴史を持つ製品。一貫してソフトウエア開発の効率化を打ち出してきた。利用者へのヒアリングを通じて、今の時代に何が求められているかを探った結果、ビジネスに直結するソフトウエアを、より早く開発したいニーズが強いと分かった。新版ではそれに必要な機能を強化した」と日本マイクロソフトの相澤氏は説明する。

 Microsoftのように、ビジネスを直接支える「攻めのIT」の支援を打ち出して、開発環境の機能強化を急ぐ企業が増えている。

 NECは2017年4月17日、システム開発環境「SystemDirector Enterprise」の新版を発表した。マウス操作などを中心にSingle Page Application(SPA)を開発できる機能や、APIを使ったシステム間連携機能の開発を支援する機能を追加した。「SoE(System of Engagement)領域のソフトウエア開発を意識した機能強化だ」とNECの小林茂憲氏(ソフトウェアエンジニアリング本部 シニアエキスパート)は強調する。

 日本IBMもクラウドサービス「Bluemix」を使う開発環境を拡充している。2017年4月6日にクラウドを活用したアプリケーションの開発を支援する「オープン・ツールチェーン」を発表。「新ビジネスを支えるソフトウエアなど、カイゼンにスピードが求められるアプリケーションの開発から運用までをクラウドで支援する」と日本IBMの三澤智光氏(取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長)は強調する。

Visual Studioはコーディングしながらテストを実行

 攻めのITを支えるソフトウエア開発の支援をうたい、各社が機能強化する領域は大きく二つある。開発ツールが従来から持つソフトウエア開発そのものの更なる効率化の支援、そしてクラウドを活用した開発の支援だ。

 ソフトウエア開発の更なる効率化を支援する機能として、米MicrosoftがVS 2017に搭載したのが、コーディング中にテストを実行する機能のライブユニットテストだ。「入力したコードにバグがないかをリアルタイムに解析するため、コーディングが終了した段階で品質の高いコードが完成している」と相澤氏は説明する。